元素

植物の成長に必要な栄養素のお話②

前回の記事では、植物の成長に必要な栄養素が17種類あることや、
植物に吸収される量に応じて区分されているということを紹介しました。
前回の記事を読んでいない方は、そちらから読むと若干、理解しやすくなるかと思います。


図1 17元素の区分

今回は、前回紹介した17の元素からいくつか抜粋して、その元素がどのような役割をしているのかを紹介していこうと思います。

①カルシウム(Ca)
私たち人間にとっても骨を強くするなどの効果があるカルシウムですが、植物にとっても大切な役割を持っています。カルシウムは細胞壁を強くしたり、細胞分裂を促進するという働きがあります。細胞分裂が行われなければ成長に影響が出てしまうため、カルシウムは重要な役割を担っていることになります。

②窒素(N)
小学校、中学校、高校を通して植物は光合成を行うことを習ったと思います。その光合成には、葉緑素や核酸などが必要となりますが、それを構成している元素のひとつが窒素です。
特に圃場で栽培を行う際に不足しがちな元素の1つであるため肥料などで補う必要があります。窒素が少ない場合、植物は一般的なものより草丈が低くなるなどの影響が起こります。また、窒素が多すぎる場合は冷害や病害虫等への抵抗性が衰えてしまうので、適切な量を見極める必要がある元素です。
ここで、「空気中には窒素が大量に含まれているのにどうして窒素が不足するのか?」と思った人がいると思います。
実際、空気中の約78%は窒素分子(N2)であるといわれています。しかし、動植物は空気中の窒素を直接取り込むことが難しいので窒素が不足してしまいます。
人間などは食べ物を通して窒素を得ていますが、植物はどのように得ているのでしょうか
空気中の窒素は、①雷 ②一部の微生物により、植物が吸収しやすい形へと変化します。特に、根粒菌という土壌微生物が空気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定)、それを植物が光合成の際に吸収することで窒素を得ることが出来ます。

③リン酸(P)
窒素と同じく三大栄養素に含まれているリン酸は、遺伝子の元となるDNA(核酸)の構成元素です。また、植物の葉や根の成長、開花や結実にも効果があります。過剰に与えても、窒素のように大きな問題は起こりませんが、不足した場合、葉の縮小、花の数が減る、開花や結実の遅れなどの症状が出ます。
④カリウム(K)
三大栄養素最後の1つであるカリウムは、根の成長を早めたり、暑さや寒さ、病害虫への抵抗を高めたりする働きがあります。カリウムは、過剰に与えるとカルシウムやマグネシウムの吸収を阻害してしまうため、植物自体の成長に影響が出る場合があります。また、不足する根の成長が遅れるために風で倒れやすくなったり、病害虫の影響を受けやすくなったりします。
⑤酸素(O)
人間にとっても必要不可欠な酸素ですが、植物も酸素を必要とします。生命活動の維持に必要不可欠な元素ですが、空気中や水(H2O)から酸素元素を吸収するため人工的に与える必要はありません。
⑥マグネシウム(Mg)
カリウムの説明の中でも出てきたマグネシウムは、光合成に必要となる葉緑素を構成する元素で、光合成の促進などの役割を担っています。また、マグネシウムは、植物がリン酸を吸収するのを促進する役割も持っているため17元素の中でも重要度が高い元素になります。

今回は6つの元素がどのような役割を担っているのかを紹介しました。
多すぎても少なすぎてもダメというのが難しいところですよね。しかし、そこに関しては経験も関係してきますが、まず各栄養素の役割や、過剰・不足時の症状を知ることでその経験の差を少しは埋めることが出来ると思います。
また、個人的にですが、光合成や窒素固定など高校などで学んだ内容が出てきたので、
「あの内容はここで役に立つのか!」となってうれしくなりました。

さて、次回は少し内容が変わりますが、「リボベジ」についての記事を投稿する予定です。気になる方は是非ご覧ください。

参考文献
[1]秋田県立大学助教授 佐藤孝 “「根粒菌(こんりゅうきん)ってすごい!!」” 〈https://www.akita-pu.ac.jp/oshirase/oshirase2007/505
[2]カレン・フィッジェラルド ほか(2006.12)『窒素の物語』,大月書店.
[3]BSI生物科学研究所 “「化学肥料に関する知識」” http://bsikagaku.jp/f-knowledge/knowledge01.pdf .

要約
「植物の生長に必要な栄養素のお話②」
①のパートでは、植物の生長に欠かせない17の元素があることなどを紹介しました。
2回目となる今回の記事では、植物の生長に欠かせない17元素がどのような役割を担っているのかについていくつか抜粋を紹介していきます。